太刀魚事件

投稿者 小田巻眞理 | 2026年05月30日 | 私について, 闘病生活

現在では、小児期の腎疾患(腎炎、ネフローゼ症候群)に対する食事療法はそんなに厳しくありません。何故なら、心身の「成長」を優先するためと、腎疾患の原因やメカニズムが明らかになってきたためです。

https://www.wch.opho.jp/hospital/department/jintaishaka/jintaishaka03.html

例えば、昔は「安静」第一でしたが、現在では浮腫がある時以外は必要ありません。

また、「食事療法」も、浮腫や高血圧がある場合は、水分と食塩制限がありますが、原則不要ですし、たんぱく質制限も小児では有効であるというエビデンスがなく、たんぱく質は小児の成長に必要不可欠なため、通常行われていないようです。

ずいぶん変わったものです。

小児の腎不全では、リン制限が必要てすが、たんぱく質にリンが多く含まれているので、リン制限の意味から、蛋白の過剰摂取を避ける必要があるようです。

静岡厚生病院では、当時、腎炎やネフローゼ症候群で入院すると「無塩・無たんぱく」の食事が提供されました。厳密には無塩・無たんぱく質は無理ですので、添加食塩と添加たんぱく質をゼロにした食事でした。

味付けされていない食事を子どもが食べるはずがありませんでした。ほとんどの子どもは痩せてしまい、少し経つと、次の段階である食塩4g、たんぱく質◯g(失念)が出されました。食塩4gになると朝食に味噌汁が付きました。

しかし、ある日の回診時、女児の付き添いの母親が泣きながら主治医に話し始めました。

無塩・無たんぱくの食事が続き、明らかに痩せてしまい心配であることを涙ながらに訴えていました。12歳の私が50年以上経っても記憶しています。確かに元々痩せた女児でしたが、目だけがギョロっとした骨と皮が目立つ難民の少女のようになってしまっていました。

そして、「塩は使わないから、家で太刀魚を焼いて持ってきて子どもに食べさせても良いか」と涙声で聞きました。

一生懸命考えて準備した質問だったと思います。母親の気持ちを思うと泣けてきます。その頃、魚は白身がよろしいという共通認識もありました。

しかし、主治医からの返事に驚かされます。

主治医「◯◯ちゃん、どんな食事が出てるの?」

母親「まだ無塩・無たんぱくです」

主治医「あれ?、今日から変更してあげるから家から持ってこなくて良いよ」

無塩・無たんぱくの食事から段階を上げるのを忘れていたようでした。今でも腸が煮えくり返る思いです。私たち患者を何だと思っているのでしょうか?!

子どもながらに本当に驚かされた事件でした。